『クルーズって危なくないですか？』
新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない中、弊社でも国内クルーズを中心に販売をしておりますが、最近特にお客様から多く問合せを頂く質問となりました。ご質問を頂いた方には個別にご説明しているのですが、今回９月に実施される【富山新港発着「ぱしふぃっくびいなすで航く秋の京都舞鶴クルーズ」】を販売するにあたり、多くの方に知って頂きたく、添乗日記を掲載させていただく事にしました。

　日本でも新型コロナウイルスの感染が確認されて２０２１年８月で早１年７カ月となりました。
まだ日本でも感染者が少なかった２０２０年２月に横浜港に寄港した「ダイヤモンドプリンセス」にて大規模クラスターが発生し、約７００名の方が感染され、１３名の方が亡くなられました。
日本で最初の大規模クラスターであり、船内で長期間乗船客が隔離され、連日報道された事もあり、「クルーズ船＝新型コロナ」というイメージが定着してしまい世界中のクルーズ船が運休するという事態となりました。
　それまで日本国内のクルーズ人口は毎年右型上がりに伸び、２０１７年には大台と言われた年間３０万人を超え、２０１９年には３５．７万人となっておりました。クルーズ業界としては今後の発展が大いに期待されるマーケットであったのですが、２０２０年２月を境に一気にどん底まで落ち込んでしまいました。弊社でも毎年飛鳥Ⅱのチャタークルーズを実施しておりましたが、２０２０年・２０２１年と中止を余儀なくされてしまいました。
　　　　
　２０２１年８月時点で正式な検証結果は発表されておりませんが、「濃厚接触者の隔離が遅れた事」、「乗組員については隔離が行われず通常どおりに食事をしていた事」、「食事を乗船客に渡すときには乗組員が直接渡していた事」等が船内でクラスターが発生した原因ではないかと言われております。
　国土交通省や日本外航客船協会などがダイヤモンドプリンスで発生したクラスター事案を基に邦船を対象としたガイドラインを作成し、邦船３船（飛鳥Ⅱ・ぱしふぃっくびいなす・にっぽん丸）では２０２０年１０月よりガイドラインに基づく対策を実施し、日本海事局の認可を受けて、順次運航を再開しました。その後、首都圏や関西圏での感染拡大に伴う緊急事態宣言などもあり、何度かの運休はありましたが、運航は継続されていました。
しかし、２０２１年４月下旬にクルーズ船に乗船していた方の陽性が確認され、再び全面的に運休される事態となりました。
　　　
　昨年１０月に、あるクルーズ船運航会社の新型コロナ対策の責任者方と話す機会があり「専門家からの意見として、PCR検査の正確性は７０％ほどであり、完全に陽性者を見つけることは不可能であるという事と、検査結果までに一定の時間が掛る事から乗船の10日前頃に検体採取となる為、採取以降に感染した場合、乗船当日に発熱などの症状が出ていなければ発見されないなど一定のリスクがある」という事を伺いました。確かに完全に新型コロナを船内に持ち込まない場合は乗船客・乗組員の方を乗船２週間前から隔離するしかなく、現実的ではありません。しかしその責任者の方は続けて、「陽性者が乗船してしまうことは完全には止めることはできないが、仮に陽性者が乗船しても同グループ以外の方に感染させなくすることはできる」という話をおっしゃっていました。
　私も商業運航前のトライアルクルーズに乗船させてもらい、船内でのコロナ対策を体験してきましたが、率直な感想として「これだけ対策されていて、乗船客がルールを守っていれば絶対に感染する事はない」と実感する事ができました。
船内での感染症対策については以前添乗日記にてご紹介しておりますので、よろしければ下記のリンクよりご覧ください。
　　　　　
飛鳥Ⅱトライアルクルーズ乗船記①
実際４月末に陽性者が船内で確認された際も同室のご家族以外に濃厚接触者がいない事が確認され、他の乗船客は横浜港に到着後すぐに下船する事が出来ました。
観光業界としても新型コロナウイルス対策を十分に行いながら様々なツアーを実施しておりますが、事前にPCR検査を行い、ドクターが同行する旅行はクルーズ旅行以外には無いと断言できます。
実際にクルーズに参加されたお客様からの感想としても「クルーズ旅行での楽しみである乗組員や他の乗船客との交流が制限され、寂しくはあるが、感染対策が徹底され陸上の旅行より安心して過ごすことが出来た」という意見を沢山頂戴しました。
　　　　
　最初に書きました『クルーズって危なくないですか？』という質問に関してのクルーズマスターである私の回答は《確かにクルーズ船という限られた空間に長時間滞在するクルーズ旅行は新型コロナウイルスやインフルエンザ等の感染症に感染するリスクはありますが、現在日本国内で運航を再開した邦船３社では感染対策が徹底され、乗船される皆様がルールを守って参加頂ければ間違いなく船内で他の方から感染する事は無いと言えます。安心してご参加ください》とお答えさせて頂きます.
　日本でも接種を希望される方々全員がワクチン接種を受けて頂き、以前のようにマスクをせずに日常生活を過ごすことができる日が１日でも早く訪れる事を願いながら今回の添乗日記を締めくくりたいと思います。